働く年金世代の増加

 年金をもらいながら働く人が増えています。60代後半のうち、働く人の割合を示す就業率は、2014年度に40.7%となり、5人に2人が働いている計算になります。かつては働く高齢者といえば自営業主が大半でしたが、今は流通・介護・製造など人手不足の業界で雇われる人が多くなっています。働き手が増えれば、消費の押し上げや返金制度の安定にもつながります。男性に絞れば51%と16年ぶりに50%を超えました。女性も31%と初めて3割を超えています。働く60代後半は男女合わせて374万人と前年度より10%増えており、10年間で5割伸びた計算になります。
 人手不足の企業にとって、経験ある高齢者は大きな戦力にもなります。豊かな老後を過ごすためには生活資金の足しを得たいのが高齢者の本音です。今年4月から公的年金は、支給額を毎年1%ずつ実質的に減らす仕組みが始まっています。今後30年で2割減少する見通しで、年金だけに頼って生活するには不安が残ります。公的年金は世代間の支え合いと言われています。会社員として働き続ければ、70歳までは厚生年金の保険料を払うため、年金制度の支え手に回ることができます。働くことを通じて高齢者が社会保険料や税金を納めれば、年金制度や財政もより安定していくことになります。

(2015年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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