認知症の発症リスク

 最近注目されているのが認知症と生活習慣病の深い関係です。中高年で糖尿病や高血圧などを患った人が、認知症になるリスクが高いことが明らかになってきています。また食生活などの生活習慣を見直すことが、認知症予防の大きな力になることが強調されています。認知症のリスクを高める病気としては、糖尿病や高血圧のほか、高コレステロ-ル血症などの脂質異常症、内臓肥満などを特徴とするメタボリック症候群が上げられています。特に認知症のリスクとの関係が深いとみられるのが糖尿病です。国内の推定患者数約950万人、予備軍を含めると2000万人を超える病気ですが、中高年で糖尿病になると認知症になりやすくなるという調査結果が国内外で相次いでいます。
 認知症のタイプは様々ですが、脳内にアミロイドβというたんぱく質がたまって神経が壊れるアルツハイマ-病が約6割を占めています。次いで脳梗塞や脳出血など脳の血管の病気で、神経細胞が壊れる脳血管症認知症が多いとされています。糖尿病とアルツハイマ-病の関係については、血中のインスリン濃度が変化することで、アミロイドβの蓄積を促したり、分解が邪魔されたりするなどのメカニズムが考えられています。糖尿病だけでなく、高血圧も認知症のリスク要因になるという証拠が増えています。正常血圧の人と比べて、高血圧では、4.56倍、より重いステ-ジ2では5.610.1倍、それぞれ血管性認知症の発生頻度が高くなるとされています。

(2015年5月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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