夫婦別姓

 妻も夫も、もとの姓のままでいたいと希望しても、夫婦別姓は法律上認められません。これが憲法に違反するのかどうか、最高裁判所が判断することになりました。キャリアを積んだ女性が法的な婚姻により姓を変更しなければならないことは、仕事を続ける上で様々な点で不都合が生じます。パスポ-トや国家資格のある免許などは、戸籍名しか載りません。離婚した場合は姓の変更が余儀なくされ、手続きは大変面倒です。現時点では夫婦が別姓のままで通したいということであれば、事実婚として取り扱われることになります。夫婦別姓であれば、世間には家族の絆が崩れるという批判もあります。
 今後は、わが国の家族形態の多様や変化も考慮し、姓に関しては選択性が望ましいと考えられます。家族の絆は、夫婦別姓であるから希薄になるのでなく、家族の愛があるかないかによります。夫婦の別姓を認めない現在の民法の規定は、見直されても良い時期にきていると思います。たとえ国家公務員であっても職場で結婚後も旧姓を使うことが公に認められるべきだと思います。最高裁の判断を注意深く見守りたいと思っています。

(2015年6月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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