OC・LEPの悪性腫瘍リスク―Ⅱ

卵巣がん

 卵巣がんは近年、罹患率が上昇しているがんの一つです。従来より、卵巣がんに対しては、OCによる排卵抑制が、排卵による卵巣上皮の損傷やゴナドトロピンへの曝露の軽減から、卵巣がん発症リスクを低下させることが示唆されてきました。
 これまでのほとんどの対照研究では、有意に卵巣がんリスクが低下することが報告されています。OC服用によるオッズ比(OR)は、服用12ケ月以上、1360ケ月、61120ケ月、121ケ月以上で、それぞれ0.910.770.650.43と服用期間が長い程リスクが低下するとされています。
 卵巣がんでは、いわゆるHBOC (Hereditary Breast and Ovarian Cancer:遺伝性乳がん卵巣がん症候群)に関連する遺伝子変異保有者において、発症リスクが高いことが知られています。その一つであるBRCA遺伝子変異保有女性におけるメタ解析では、BRCA1、BRCA2遺伝子変異保有者でのOC服用による卵巣がんリスクは、非服用者と比較して有意に低下しています。

日本における子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん罹患者数の年次推移
(がん情報サービス:グラフデータサービス)
(吉村 やすのり)

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