OC・LEPの悪性腫瘍リスク―Ⅴ

乳がん

 乳がんは2011年の日本人女性の罹患数の第1位、2013年の死亡数では第5位と頻度の高いがんです。もちろん乳がんはエストロゲン依存性腫瘍であり、近年、患者数は増加しており、他のがんと比較して若年層に多いことから、OCLEP服用による影響が問題となります。
 OC服用と乳がんリスクに関しては、多くの報告がみられます。最新の前向きコホート研究のメタ解析の結果からは有意な上昇を認めていませんが、症例対照研究を含めた2000年以降のメタ解析の結果からは、オッズ比(OR)1.081とわずかですが、有意な上昇が示されています。投与期間との関連については、メタ解析において、乳がんリスクはOC開始直後に増加しますが、その後はほぼ一定となります。一方、長期間のOCについては、乳がん発症リスクの増加を指摘する報告もあり、前向きコホート研究のメタ解析においても長期の使用はリスクを上昇させるという結果が報告されています。服用中止後のリスクについては、中止後5年以上経過しても乳がん発症リスク上昇の影響は残るとする報告もあります。


日本における乳がんの年齢階級別罹患率
(がん情報サービス:グラフデータサービス)
(吉村 やすのり)

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