ディープテック新興企業の資金調達

 世界ではディープテック分野の新興企業がAIや宇宙などの急速な技術進展の原動力となってきています。米オープンAIや米スペースXなどが代表例です。日本政府も、将来的にユニコーン(企業価値10億ドルを超える未上場企業)を100社に増やす目標を掲げ、ディープテックを有望分野とみています。国内ユニコーンは8社にとどまっています。

 内閣官房の資料によれば、東京圏で10億円以上の資金調達ができた新興ディープテックは2022年時点で410社と、シリコンバレーの1,928社やニューヨークの1,110社を大幅に下回っています。ディープテックの新興企業が設立当初の資金は確保できても、事業化にこぎ着けるまでの資金調達が死の谷として立ちはだかっています。

 どれほど素晴らしい技術であっても、投資家に伝える努力が足りなければ、事業化には届きません。日本では大学から挑む事例が多く、2024年度の大学発の新興企業は5,074社と10年前の2.9倍に増え、1990年代後半~2000年代前半以来の第2次大学発ベンチャーブームの様相を呈しています。技術も理解しつつ、ニーズがある分野での製品開発や資金調達に取り組める人を経営側に置くことが大切です。

 一流の研究者が優れた経営者とは限りません。象牙の塔の学閥・序列を超えた適材適所が必要になります。日本が世界トップレベルの技術力を維持しているうちに成功例を確立することが急務です。AIや量子、宇宙といった先端分野の科学研究が、ビジネスと直結する時代の技術革新テクノベーションが必要です。

(2026年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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