フィジカルAIの強化

 AIのモデル開発で米中が先行するなか、日本勢はものづくりの現場が持つデータが強みとなっています。素材や機械など幅広い産業の生産や技術のデータを取り込み機械やロボットを、自律的に制御・駆動させるフィジカルAIの競争力を高めて対抗しようとしています。ソフトバンクが新設した日本AI基盤モデル開発に対し、安川電機や富士通、重工業や運輸の大手など約30社が出資を検討しています。

 インドの調査会社サービコーン・コンサルティングは、フィジカルAIの世界市場が2034年には2025年比で13倍の約685億ドル(約11兆円)になると予測しています。米モルガン・スタンレーは、本命視されるヒト型ロボットだけで2050年に10億台以上が使われるとみています。産業用ロボットの世界でも、ファナックや安川電機が開発を本格化しています。文章や画像などコンテンツを生成する生成AIと異なり、現実世界のモノを動かし作業を代行します。製造現場から医療・介護まで幅広く導入が見込まれます。

 フィジカルAIに活用するデータや知見の多くは、工場や保守拠点など企業内に眠っています。機械などを精緻に動かすには、摩耗や発熱、圧力など物理特性のデータや現場の暗黙知もAIに学ばせる必要があります。現実世界の情報を遅延なく高速で処理できるAI基盤も求められます。

(2026年5月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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