凍結胚移植における母体リスク軽減

 不妊治療においては、これまで妊娠できるかどうかが主な評価指標とされてきましが、近年では妊娠後の母体や胎児の安全性にも注目が集まっています。凍結胚移植の際には、子宮内膜を整える方法として、ホルモン剤を用いて人工的に子宮環境を整えるホルモン補充周期と、自然な排卵に合わせて移植を行う自然周期の 2 つが主に用いられています。ホルモン補充周期は、医療側だけでなく患者側にとってもスケジュール調整がしやすく、仕事や生活との両立が可能であることから、実臨床において広く普及してきました。近年の研究では、ホルモン補充周期では妊娠合併症のリスクが高まる可能性が指摘されており、その安全性について再評価が求められています。

 浜松医科大学の研究グループは、凍結胚移植において、ホルモン補充周期よりも自然周期の方が、流産や妊娠合併症のリスクが低い可能性を報告しています。特に、妊娠高血圧症候群、癒着胎盤、帝王切開、分娩時の大量出血といった重篤な合併症が有意に低いことが確認されています。これらの結果は、治療法の選択が単に妊娠の成立だけでなく、その後の妊娠経過や出産の安全性にも大きく影響する可能性を示しています。

(2026年5月2日 Fertility and Sterility)

(俵IVFクリニック 周産期統計(2026年)より)
(吉村 やすのり)

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