医療費無償化の積極度ランキング

 子どもや若者の医療費無償化が広がっています。完全無償化の対象が高校生以上の市区町村は3年間で倍増しています。上限年齢や所得制限の有無を基に市区町村の取り組みを点数化したところ、29県で県内の平均点が東京都を上回っています。人口減に悩む地方ほど医療支援を充実し、子育て世帯を呼び込もうとしています。こども家庭庁の調査によれば、無償化の上限年齢を高校生以上とし、通院・入院とも所得制限や自己負担を設けていないのは1,215市区町村でした。2022年度調査の608市区町村から大きく増えています。

 無償化の上限年齢を1歳=1点として換算し、18歳なら18点とし、支援内容の充実ぶりを点数化してみると、都道府県別の平均点は愛媛県の18.2点が最も高く、高知県、愛知県、鳥取県が続いています。三大都市圏の8都府県は平均15.0点でした。教育の無償化は財源が豊かな大都市圏が先んじていますが、医療は地方が先行しています。

 愛媛県は、県内20市町全てが高校生以上を完全無償化の対象としています。愛媛県は就学前の6歳までの無償化に必要な経費を補助していますが、県内市町は自己負担で18歳以上まで拡大しています。過去3年間で平均点が最も上がったのは鳥取県です。2022年度は9.5点と全国で42位でしたが、2025年度は18.0点と4位に上がっています。

 無償化は子育て世帯には恩恵ですが、不要不急の受診が増えれば医療費全体が膨らみかねません。無償化する自治体が直接負担するのは住民が支払う分のみで、残りは保険料や税金で国民全体が背負っています。医療費が膨らめば、他の自治体の住民に負担を強いることになります。地方の人口減少が加速し、子育て世帯を呼び込もうと自治体間の競争は激しさを増しています。

(2026年4月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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