東京科学大学の研究成果によれば、台風通過後に、脳卒中で緊急入院するリスクが上昇しています。台風に遭遇してからの1週間で、脳卒中で緊急入院するリスクは、平常時と比べて4.9%増加しています。とりわけ出血性の脳卒中では12.9%増となり統計上明確な差が出ています。脳内出血が13.1%増で最も高く、くも膜下出血も9.4%増で上昇傾向が見られています。台風遭遇から4日以内がとりわけ注意が必要なことも分かりました。一方、脳梗塞などの虚血性脳卒中ではリスクの上昇は見られませんでした。
台風の勢力が大きいほど、リスクが大きくなる傾向も確認されました。最大風速25m以上で分析すると、出血性脳卒中の入院リスクは28%増となっています。台風による気圧低下で、人の体内の血液中の酵素濃度が低下し、交感神経を活性化させて血圧上昇を引き起こすことで、出血性脳卒中のリスクが増える可能性が考えられています。自然災害によるストレスが高血圧を引き起こす可能性もあります。
高血圧がある人はより脳卒中のリスクが高まるので、普段から血圧管理をしっかりするとともに、台風が来る時は体調の変化にも気をつけるべきです。気候変動が進むにつれて台風が大きくなり長期化することが懸念され、これまで台風が来なかった地域でも、健康被害が顕在化する可能性があります。熱波だけでなく、台風などの自然災害も視野に入れた地域医療体制の整備が求められます。

(2026年8月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





