多胎妊娠の増加傾向

 多胎妊娠は妊婦への負担が大きく、日本産科婦人科学会は一度に移植する受精卵は原則1個としています。しかし保険を使って受精卵を移植できるのは不妊治療開始時の年齢が40歳未満の人で6回、40~42歳の人で3回までに限られます。そのため制限回数内で治療を終えようと、複数の受精卵を移植する人が増えた可能性があります。

 体外受精では、妊娠の確率を上げるため同時に複数の受精卵を移植することがあり、多胎妊娠が起こりやすく、2007年まで多胎妊娠率は10%を超えていいました。そのため学会は、2008年に一度に移植する受精卵を原則1個とする見解を出しています。35歳以上や2回以上移植しても妊娠しなかった女性では2個に増やすことも認めています。その結果、多胎妊娠率は低下し、2014年以降は3%程度になりました。

 東邦大学の調査によれば、2022年に体外受精などの生殖補助医療が公的医療保険の対象になって以降、双子や三つ子といった多胎妊娠の割合が増加し、2023年の生殖補助医療による多胎妊娠数は過去最多の4,354例で、多胎妊娠率が3.8%に上昇しています。保険適用により生殖補助医療全体の数が増えたことが影響していると思われますが、多胎妊娠数は2022年より36%増加して過去最多になっています。

 わが国の全出生数あたりの多胎の割合も、2022年以降の多胎での増加が顕著になっています。生殖医療での多胎数の増加によるものと思われます。

(2026年5月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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