国立大学の主な収入は、国から支給される運営費交付金です。国立大学法人に移行した2004年度から減少しています。2026年度は1兆971億円と2004年度に比べて1445億円減少しています。優れた研究テーマに資金を重点配分する科学研究費補助金は拡充していますが、科研費の増額幅は649億円にとどまっています。運営費交付金の減少分を補うことはできていません。収入の大半を国費に頼る国立大学にとっては死活問題です。

文部科学省がまとめた科学技術指標2025によれば、日本は2000年に比べて2023年は1.2倍の3兆9000億円でした。米国は2.1倍の約9兆7000億円、中国は16.5倍の約7兆2000億円と大きく伸ばしています。米国のハーバード大学は569億ドル(約9兆円)の巨大基金を持ち、基金運用による財源が年間運営収入の約4割を占めています。東京大学の寄付金の運用残高は、2025年度で658億円で規模は100分の1以下です。

日本の大学の頂点に立つ東京大学であっても財務基盤は脆弱です。国立大学は2004年に国立大学法人に移行し、自立運営を目指したものの資金不足や経営の足かせとなる規則の存在にトップ大学もつまずいています。国立大学法人モデルは岐路に立たされています。大学院重点化、国立大学法人化は進みましたが、競争力強化にはつながっていません。自由度の低い交付金頼みで大学の運営が上手くいくはずがなく、大学経営もグローバルな視点で改革が求められています。

(2026年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





