大学病院は、高度で専門的な医療の提供や医師の育成、研究などの役割を担っています。診療・教育、研究、医療安全に加え、専門医を養成し、地域の病院に医師を配置する機能も担っています。2004年の国立大学法人化後、大学病院には自立的な経営が求められました。しかし教育や研究に必要な費用まで診療報酬に頼る構造が残ったままです。
大学病院は教育研究機関である大学が持つ病院です。単に利益を稼ぐためだけの機関ではなく、医師を育て、研究を進め、新しい医療を患者に届けるとの原点に立ち戻る必要があります。同じ大学病院でも、都市部で先端研究や高度医療を担う大学と、地方で地域医療や雇用を守る大学では求められる機能は異なります。大学病院は単なる大病院ではありません。人を育てる地域の医療を支える社会基盤として位置付けを見直す時期にきています。都市部の大学病院は、診療科や病床数の削減など診療規模を適正化し、教育と研究に人材と時間を振り分けるべきです。そのための財源は、診療報酬だけに頼らず、国が将来への投資として手当てすべきです。治療法が確立された医療であれば、地域の中核病院や専門病院の方が適している場合もあります。
大学病院は、損益計算書(PL)の赤字改善に追われ、貸借対照表(BS)に基づく中長期の資産管理や設備投資が後回しになりがちです。建物や医療機器を更新できなければ、高度医療を担う基盤そのものが損なわれてしまいます。大学全体で資産の状態を把握し、将来必要な投資を計画する経営へ転換しなければなりません。
大学病院は、診療機関であると同時に教育と研究、高度医療の提供など一般病院にない役割も担っています。大学病院の主たる本分は研究と教育です。現状では診療が多忙を極め、若手医師が研究に割ける時間があまりにも少なく、診療規模を拡大する一方で人員数を抑え込んできた結果です。このままでは創薬や治療法を生み出す人材が育たず、日本は海外の医療を輸入するだけの国になりかねません。意欲ある医師を集めるには、先端医療や基礎研究に挑戦できるという魅力が求められます。人が集まらなければ、地域への医師派遣も続けられなくなってしまいます。今こそ、稼ぐ病院から未来の医療をつくる病院へ転換すべきです。
(吉村 やすのり)





