近年、人類が月を目指す動きが再燃しています。月へのミッション数は、米国と旧ソ連が有人宇宙飛行を競った1970年代に迫る勢いです。ロケットの残骸や運用を終えた衛星などの不要な人工物である宇宙デブリも増加しています。2022年にも中国のものとみられるロケットの残骸が月面に衝突しています。米国宇宙監視ネットワークに登録されている2026年の物体数(運用中の衛星なども含む)は約3万4,000個あり、20年で倍以上になっています。2019年にスペースXが小型衛星通信網のスターリンクの打ち上げを始めると、増加に拍車を掛けました。稼働中の衛星などにデブリが衝突すれば、壊滅的な被害が出かねない状況です。地球周回軌道上の宇宙デブリは増え続け、ロケット残骸の月面衝突も発生しています。
月には大気がほとんど無いため、地球のようにデブリや隕石が燃え尽きることがありません。NASAによれば、隕石は月面に連日落下し、ロケットの残骸の衝突も6日に1度は発生しているとされています。デブリの発生抑制に向けたルールは、宇宙機関の安全担当者による国際機関間スペースデブリ調整委員会が2002年にガイドラインを策定しています。
米国では、厳格化の動きがある一方、中露を含めた国際法を定めるには課題が山積しています。各国がルールに従わずに軌道を利用すれば、道路に整備不良の車がある状態と同じです。今後も衛星が増加する流れは止まらず、世界の宇宙プレーヤーが従えるルールが大切です。

(2026年9月15日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)





