専業主夫の増加

 会社員の夫に養われるパート主婦らが中心の国民年金の第3号被保険者で、男性が増えています。2024年度末におよそ13万人と、この30年で3倍近くに伸びています。3号は、会社員や公務員らに扶養される20歳以上から60歳未満の配偶者が入る制度です。保険料を納めずに老後の基礎年金を受け取れます。健康保険料も払わずに済み、病気やケガで診察を受ける際は給付を受けられ、自己負担は医療費の3割で済みます。

 年代別では30代の増加が目立っています。2024年度末に約3万3,000人と10年間で5割増えています。50代は5万7,000人ほどで2割弱、40代は3万6,000人で6%ほどの伸びにとどまっています。20代は5,000人で横ばいでした。かつて3号の男性は、50代で早期退職した人や失業などで妻の扶養に入らざるを得なくなった人が中心でした。働き盛りの30代男性の伸びは、男女の役割分担の変化を反映しています。

 1986年度に3号を導入する以前は、専業主婦らの国民年金は任意加入でした。当時は専業主婦の世帯が多く、保険料を納めていない妻が離婚した際などに無年金となるのを防ぐ狙いがありました。近年は共働き世帯や単身世帯が増え、3号の総数は2024年度末に640万8,070人と30年でほぼ半減しています。年収が130万円を超えて扶養を外れ、厚生年金に入る女性も増えています。2024年度末に1,756万人と10年で3割増えています。

 3号を選ぶ男性の増加は、収入が不安定な人の暮らしを支える社会保障の充実ぶりを示す半面、元々の目的が薄れています。一時的に妻の扶養に入る選択をする人の中には、一定の貯金や株式配当など金融資産を持つ人もいます。3号には、パート主婦らが年収の壁を超えないように働き控えをする温床になっています。


(2026年6月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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