配偶者の死後、義理の親や兄弟姉妹との親族関係を終わらせる姻族関係終了届の届け出件数が増えています。死後離婚とも呼ばれ、義父母の介護や扶養から解放されたい思いが動機とされています。2010年代に注目されるようになり、2017年をピークに減少していましたが、再び増加に転じ、最新の2024年度は3,627件に上っています。
死後離婚は、姻族関係終了届を本籍地か住民票のある市区町村に提出し、亡くなった配偶者の親族との関係を終わらせる手続きです。提出するだけで済み、義父母らへの通知や同意も必要ありません。2010年代に死後離婚として関心を集めた背景には、夫の死後も義父母の介護や墓の管理などを嫁が担ってきた家父長制への抵抗があるとみられます。民法上、義理の息子や娘が義父母の扶養義務を負うことは原則ありません。扶養義務が生じるのは原則として義理の親の直系血族や兄弟姉妹です。終了届の提出後も遺族年金は受給できます。
増加の要因に75歳以上の後期高齢者の増加があります。人口動態統計によれば、後期高齢者は2024年に2069万人、2020年で約1.7倍に増えています。医療の進歩で寿命が延び、戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳を超えました。近年の増加は高齢者の人口が増加し、実際に介護に直面する家族が増えたことが影響しています。核家族化が進み、地方の墓を維持する負担も重くなっています。
姻族関係終了届を出しても、自分と配偶者の子どもと義父母の血族関係は続きます。子どもには配偶者に代わり義父母の遺産を代襲相続する権利も生まれます。死後離婚で関係が悪化すれば、遺産分割協議でもめる可能性も出てきます。

(2026年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





