上場企業が2026年3月期に最高益を達成した原動力には利益率の改善があります。売上高純利益率は7%と2012年3月期以降で最高となっています。業種別でみると、建設は2012年3月期の1%から6%に高まっています。鉄道・バスは4%が10%に、食品は2%が5%になっています。運賃改定や食品値上げなど量よりも単価重視を強めた業界です。
売上高は利益ほど伸びなくなっています。上場企業のここ2年ほどの増収率は4%台と、表面上はそこそこでも物価上昇を考慮すると数量はあまり増えていません。人が増えない中で数量も伸ばしていくには、まずはロボットやAIの活用による生産性の向上が必要となります。
日本企業は、デフレ下では価格を抑えてコストを減らす経営が続きました。インフレに転換した今は値上げがしやすく、企業が数量より単価や採算を重視するのは自然な流れです。しかし、人手不足や地政学リスクという供給制約に直面する日本では、ただでさえ事業が縮みがちです。生産性や技術革新を武器に量も追う姿勢が必要になります。

(2026年6月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





