高齢者医療費の窓口負担拡大

 医療費の窓口負担は、現在原則として現役世代が3割、70~74歳は2割、75歳以上は1割です。70歳以上で現役並みの所得があれば3割、75歳以上で一定以上の所得があれば2割になります。日本経済新聞らの調査によれば、現役世代と同じ3割負担の高齢者を増やす方針への賛否を医師に尋ねたところ、医師の64%が賛成、どちらかと言えば賛成と答えています。病院勤務医では68%が賛成で、診療所開業医の50%を上回っています。

 賛成の理由としては、医療保険制度の持続可能性を高めるためが最も多く、賛成と答えたうち61%を占めています。世代間の負担の公平性を高めるためが52%、現役世代の社会保険料負担を軽減するためが42%と続いています。窓口負担の見直しで賛同できる政策としては、70歳以上の負担割合を原則3割に引き上げるが32%で最も多く、70~74歳の負担割合を原則3割に引き上げるが18%と続いています。

 窓口負担が増えれば、受診控えや治療の中断による重症化が起こる可能性はあります。こうした事態について懸念するが48%、懸念しないが40%と、懸念する医師の方が多くみられます。過去の窓口負担の引き上げ時に、受診控えで死亡や重い病気の発生が増えたという信頼性の高い研究報告はありません。年齢によらず所得や資産、健康状態を考慮して負担を考えるのが合理的と思われます。

(2026年8月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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