成年後見制度は、2000年4月に介護保険制度と同時に始まりました。本人の代理となる人を家庭裁判所が選び、財産管理や福祉サービスの利用、入院・施設入居などを支援します。悪徳商法などの契約を後から取り消せる権限もあります。家裁に申し立てができるのは、本人や家族、市区町村長らで、判断能力の度合いに応じて、後見、保佐、補助の3つの種類があります。
最高裁判所によれば、利用開始の原因は認知症が6割を占め、知的障害が1割で続いています。申し立ての動機で一番多いのは、預金等の管理・解約です。利用者数は、全国で約26万人で増え続けています。しかし、認知症とその前段階とされる軽度認知障害(MCI)の高齢者の数は1千万人超と推計されており、広く活用されているとは言えません。

手続きの面倒さに加え、法律家など専門職の後見人らに払う報酬の負担もあります。報酬は家裁が決め、預貯金の額などによって変わります。最高裁の資料によれば、報酬は平均で年額33万円余り、月額で約2万8千円です。今の制度は、利用すると判断能力が回復しない限りやめられないという事実上の終身制となっています。報酬支払いも生涯続きます。後見人らと本人・家族でトラブルがあっても、横領などの不正行為がない限り、交代も難しくなっています。
本人の権利が必要以上に制限されるなどの問題があり、抜本的に見直すための民法改正案が閣議決定されました。改正案では、遺産相続や不動産売却など必要な事柄について、個別に代理権をつける仕組みになります。必要がなくなれば制度利用を終了できるようになります。事実上の終身制から終われる制度になるのが見直しの最大のポイントです。今回の改正案では、一本化される補助人を選ぶ際に本人の意見を尊重することを明確にしました。補助人が支援する際にも、本人に情報を提供し、話を聞いて意向を把握するようにしなければならなくなりました。
(2026年4月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)







