博士号取得への支援

 文部科学省によれば、日本の博士号の新規取得者は人口100万人あたり2022年度の123人と、2010年度の131人から減少しています。355人の英国や342人の韓国の半分以下です。ただでさえ少ない博士を不安定な立場に追いやったままでは、先端研究の国際競争で劣後してしまいます。ビジネス最前線で博士を生かす発想が必要となります。

 経団連は、2026年度に博士号を持つ人材の採用や育成を加盟企業に促す活動を始めます。経済界と大学側が博士の育成や採用で連携する第一歩と位置づけています。先端研究が企業の成長を左右する時代に、研究・開発の担い手不足がボトルネックになるとの問題意識があります。

 かつて学術界には、研究者にならず民間に職を求めた人材を負け組とみなす風潮がありましたが、若い世代を中心にこうした考え方は大きく変化しています。大学などの研究ポストは狭き門であり、博士号を取ってもポスドクと呼ぶ任期付きの不安定な雇用が続くことが珍しくありません。民間就職が一般的になった一因です。政府も企業とのマッチングを後押ししています。

 経済産業省は、大学において契約学科を創設します。企業が大学と契約し、資金や人材を出して運営し、企業はカリキュラムの作成から携わり、社員が教壇に立つこともあります。卒業・修了後の優先採用も見据えています。企業で研究する道がある程度確保されるコースがあれば、博士課程への進学率も上がります。

(2026年4月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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