自県大学進学率の上昇

 文部科学省のまとめによれば、地元の大学に進学する学生の割合が、約20年前から多くの県で増加傾向にあります。全国平均は2002年度の約40%から徐々に上がり、2024年度は約45%に上昇しています。上昇した都府県は、2002年度から2008年度で37、2008年度から2016年度で30、2016年度から2024年度で34に上がっています。一方、北海道、埼玉県、鹿児島県、沖縄県では低下が続いています。

 全国最高は愛知県の71.4%でした。本部を置く国公私立大学が全国3位の52大学あり、進学先の選択肢が多くなっています。若者の地元志向が強く、自動車産業をはじめ安定した就職先が多いことも影響しています。2位の東京都は68.8%、3位の福岡県は65.9%、5位の大阪府は60.1%も、大学が多く就職先が豊富な点が共通しています。4位は北海道の65.3%です。

 背景には、若者の地元定着を目指す自治体の取り組みや、国の政策の影響があります。若者の流出を防ぎたい各自治体が、補助金を投じて大学を誘致するなどの対策を進めました。国は、地方創生を掲げた第2次安倍政権下の2016年度に、都市部の大規模大学を中心に入学抑制策を導入しました。2018年度には、東京23区の大学の定員増加を原則認めない規制も始めました。2020年からのコロナ禍で地元志向が高まった影響が残るとの指摘もあります。

 今後の少子化の急激な進展で、地域により低下に転じる可能性も指摘されています。地方では、今後大学の撤退が相次ぐことが予想され、都市部への集中が進む可能性もあります。自治体は大学に進学する層をどう広げるか、進学率の男女差や県内格差をどう考えるのかといった将来像を描き、対策を考えるべきです。国も財政支援などを通じて大学を支える必要があります。

(2026年4月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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