順天堂大学の研究グループは、父親の運動不足や偏った食習慣が、生まれる子の健康や体質に悪影響を与える可能性を報告しています。ラットを用い、運動不足の父親から生まれた雌と雄のカップルは妊娠する割合が通常の4分の1の25%に低下していました。生まれた孫も体が弱く、離乳する時期まで生きられませんでした。雌の父だけが運動不足だった場合も妊娠したのは67%にとどまっていました。父親の運動不足が原因で、精子に載る様々な遺伝子の働きを調節するエピゲノムという仕組みが変化したと考えられています。

(2026年5月26日 日本経済新聞)
父親の食習慣が子どもの心や体に影響を及ぼす恐れがあることも分かってきています。デンマークのコペンハーゲン大学などのマウスの研究で、計60匹の雄を10グループに分け、たんぱく質や脂肪、炭水化物の割合が異なる食事を12週間以上与えています。その後に雌と交配させ、生まれた子どもの行動などを調べています。たんぱく質の摂取量が少なく、炭水化物を多く食べた父親から生まれた雄は不安そうに振る舞います。脂肪分が多い食事をした父親から生まれた雌は体脂肪率が高まっています。偏った食事のために父親の精子で遺伝子の働きが変化し、胎児の成長に響いた可能性があります。
英国のウエルカム・サンガ―研究所などは、加齢で精子に生じる変化を2025年に発表しています。24~75歳の81人から精子を採取し、遺伝子の突然変異が起きた頻度を調べています。30代前半の男性の精子では約2%に自閉症を含む重度の発達障害やがんなどにつながる変異が見つかっています。この割合は43~58歳で約3%に高まり、59~74歳では約5%に上昇しています。
晩婚の父親は病気を引き起こす突然変異を子どもに受け継ぐリスクが高いかもしれません。もし父親の運動不足や食習慣が生まれる子どもの健康体質に悪影響を及ぼすとすれば、妻が妊娠する前から節制した生活を求められるかもしれません。

(順天堂大学 ニュース&イベント 2026.2.25)





