1990年代以降、18歳人口が減少しているにもかかわらず、大学は増え続けてきました。財務省は、半数を超える私立大学が定員割れしているという状況を踏まえ、2040年に向けて、少なくとも250校程度の学校数縮減が必要との考え方を示しています。四年制女子大をみると、1998年のピークの98校から、近年では共学化が進むとともに募集停止・閉校のケースもあり、2025年には66校と約3割減少しています。
米国でも、女子大は1960年代には200校以上ありましたが、近年では30校近くまで減少しています。しかし、セブンシスターズと呼ばれていた名門女子大7校でのうち5校は女子大として残り、存在感を発揮し続けています。小規模のリベラルアーツ大学であり、少人数授業、教員と学生の距離の近さなどを特徴としています。特筆すべきは、リーダーシップ教育で大きな成果を上げています。米国の女子大学連盟によれば、フォーチュン1,000企業の女性取締役の約3分の1、議会の女性議員の20%以上が、女子大出身であると報告されています。
2020年代初めまでの長期のデータで検証すると、別学で学んだ女性の方が、将来所得が有意に低下することを示す分析もありました。しかし、この2、3年に発表された新しい実証分析をみると、男子では明確な効果はみられないが、女子別学の正の効果を示す研究が増えてきています。別学の女子の中でも成績上位層は、精神面での改善が大きく、別学のメリットを享受しやすいという研究もあります。別学の女子は共学に比べて政治参加意識が高く、リーダーを経験する確率が高いことを示す研究もあります。
女子別学のプラス効果は、理数系科目が苦手というステレオタイプ、リーダーは男子がやるべきだという性別役割意識、さらには学業への妨げになりうる異性への意識からの解放などから生じると説明されています。マイナス効果は、異性との交流が少なくなることで、職場での異性の同僚との意思疎通に支障をきたすとの指摘もあります。
しかし、共学校出身で優秀な女性ほど、あうんの呼吸で男性を立て、一歩引くことを意識する場合が多いかもしれません。いわゆる名誉男性です。むしろ、別学で自信・自己効力感を高め、異性と積極的にやり合うことができるようになることこそ、新たな意思疎通のあり方かもしれません。

(2026年5月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





