NIPTは、妊娠9~10週以降の妊婦の血液を採取し、胎児の染色体の状態を調べる検査です。ダウン症など三つの疾患を対象に、2013年から始まりました。現在は日本医学会が認めた認証施設で実施することになっています。しかし、認証されていない施設でもNIPTが実施され、全ての染色体を調べる検査が行われたり、妊婦に十分な遺伝カウンセリングがされなかったりすることがあります。
こうした実態を踏まえ、2026年2月から全ての染色体を調べる新たな臨床研究が、東京慈恵会医科大学など全国11施設で始まりました。検査の正確性を調べることが目的で、対象は、超音波検査などで胎児の異常が指摘された妊娠10週から37週未満の妊婦や、夫婦のどちらかに染色体の一部が入れ替わる転座が見られる場合などに限ります。
日本医学会によると、NIPTを受けた妊婦は6万3,408人です。2021年3月までの10万1,218人のうち、疾患が確定した人は1,624人で、このうち77.6%にあたる1,261人が妊娠を中断しています。
国立成育医療研究センターなどの研究グループの分析結果によれば、NIPTは2013年の7,775件から2023年には4万813件に増加しています。一方、羊水検査は2014年の1万6,454件をピークに減少、2023年は5,620件でした。また、羊水検査での染色体異常の検出率は、2006年の8.4%から2023年は20.0%に上昇しています。NIPT導入後、羊水検査など妊婦への負担が大きい検査を受ける人が、胎児の染色体異常のリスクが高い妊婦に絞られるようになった可能性があります。

(2026年5月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





