新種の発見の増加

 新種生物の発見が増えています。100年ほど破られなかった1912年の最高記録が2009年に更新されました。2020年は1万7,044件と過去最高となっています。遺伝子レベルでしか区別できない隠れた種が多く発見されるようになっています。

 同じ種だと誤解される隠蔽種が新種として記載される事例は、DNAの分析技術の発展と比例するように増えています。DNAバーコーディングという技術が役立っています。特定の短いDNA配列をデータベースに登録されているものと照合し、種を特定します。見た目で判別できず、既知の種と一致しない場合に有効です。DNAバーコーディングのデータ収集は世界で進んでいます。2023年のデータ数は1,478万9,217件と、15年で約30倍にまで拡大しています。

 新種の発見は生物の進化を解き明かすという科学的な成果だけにとどまりません。学名を付けることで、その生物の持つ特性に関する情報を国際的に共有できます。その過程で経済的な価値が生まれます。米国立衛生研究所によれば、2019年までの約40年間で初承認を受けた低分子医薬品のうち、生物由来の物質を使ったり、改変を加えたりしたものが3割以上を占めています。生物由来の物質に着想を得て合成した薬品も含めると7割弱に達します。新種の生物が含有したり分泌したりする物質の情報を共有すれば、新薬開発の機会は広がります。

(2026年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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