ドラッグロスの現状

 米国研究製薬工業協会(PhRMA)によれば、2014~2023年に欧米で発売された新薬460品目のうち、245品目が日本では未発売で、未発売の51%にあたる124品目は日本での開発に着手されていません。欧米で最終段階の臨床試験が進められている新薬候補601品目が開発に着手されていません。

 日本の新薬発売時の薬価は、過去10年間で全ての主要国と比べて低く、2023年は米国価格の4割にとどまっています。しかし、日本は薬価こそ低いものの市場規模としては大きいため、製薬企業も日本で発売していました。しかし、製薬企業が、米国での高価格を維持するために、日本ではあえて売らないという方針を取るようになってきています。今後、新薬の薬価を高くするなど対応しなければ、日本のドラッグロスがさらに拡大する可能性が出てきます。

 日本の薬価は、国が緻密に精査した上で製薬企業に一定の利益が出るように計算されています。米国の政策に合わせて日本の薬価を上げる必要があるのか、慎重に見極める必要もあります。医薬品の多くを輸入に頼る日本の弱さが国民の暮らしに大きく影響する恐れもあります。高い薬が海外から入るようになりドラッグロスが解消されれば、さらなる医療費の拡大を招くことになります。

(2026年6月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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