厚生労働省が発表した2025年の人口動態統計で13県の合計特殊出生率が上昇しています。10県以上の上昇は7年ぶりです。全国的には10年連続で低下し、過去最低の1.14でした。しかし、香川、富山、石川の3県を除く10県は、出生数は減少したままです。
合計特殊出生率は、15~49歳の各年齢ごとに分母を女性の数、分子をその年に生まれた子どもの数として出生率を計算し、それを合計します。分母にあたる女性の数が転出などで減ると、出生数が増えていなくても出生率が上がります。20代女性の流出率ランキングでは、出生率上昇の13県のうち岩手と秋田は全国ワースト5位に入ります。徳島、長崎、高知、宮崎各県は20位以内で、それ以外の7県も流出の状況にあります。
出生率が上昇したとしても、地域の女性が減れば将来的な出生数の減少の要因となります。岩手、秋田はこの10年間で出生数が45%以上減少しています。女性の流出に連動する出生率ではなく、出生数の実数が減少している現実を直視すべきです。
(2026年6月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







