子宮移植の臨床研究の実施

 藤田医科大学は、子宮がない女性の出産を可能にする子宮移植について、臨床研究の実施に向けた学内の議論を始めています。今後、研究計画をまとめ年内にも学内の委員会に申請し、国内初の実施を目指します。子宮移植は、生まれつき子宮がないロキタンスキー症候群や、良性腫瘍やがんで子宮を摘出した女性が、自ら妊娠・出産する唯一の方法です。2014年にスウェーデンで世界初となる子宮移植による出産が報告されています。これまで、世界で150例以上が実施され、70例以上の出産が報告されています。

 子宮移植は、子宮がない女性が出産するために、別の女性から提供してもらった子宮を移植する手術です。移植後は拒絶反応を抑える免疫抑制剤を使いながら、体外受精させた受精卵を子宮に入れ、妊娠すれば帝王切開で出産することになります。免疫抑制剤を使い続けなくていいように、出産後は子宮を摘出しなければなりません。

 子宮移植には、医学的にも倫理的にも課題があります。移植を受ける人も子宮を提供する人も長時間の手術が必要となり、負担が大きいことが問題視されています。生命維持を目的とする臓器移植とは違い、出産のために別の人の臓器を移植することへの慎重論もあります。日本医学会は2021年7月に子宮移植の実施を認める報告書を公表しています。

(2026年6月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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