企業が毎年決まった時期に卒業前の学生を集中的に選考し、在学中に内定を出す新卒一括採用は、終身雇用や年功序列賃金と並ぶ日本型雇用の柱の一つとして機能してきました。学生の可能性を評価して採用し、時間をかけて育成することで帰属意識を高め、一定水準の人材を安定的に確保する狙いがあります。
DXなど産業構造の転換が加速し、専門性の高い人材を機動的に確保する必要性が高まっています。日本経済新聞社の調査によれば、2026年度の採用計画に占める中途比率が5割を超えています。社員が紹介する人材を獲得するリファラル採用など手法も多様化しています。採用時期や入社時期の横並びは崩れそうです。
若手が担ってきた補助的な業務などは、生成AIによる代替も進んでいます。専門性の高い学生を囲い込むため、インターンシップの長期化や内定時期の早期化も予想されます。欧米では卒業後、留学したり社会経験を積んだりして、自分の興味や適性に合った職業を探す若者が少なくありません。日本でも卒業と同時に就職することは当たり前でなくなるかもしれません。

(2026年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





