試験のオンライン化

 日本では、公的試験におけるCBTの導入が海外に比べて遅くなっています。日本には素点主義の文化があり、0点から100点までの点数に特定の意味を見いだす感覚が根付いています。点数が人材の能力を測る絶対的な物差しと考えれば、受験者全員が同じ日に同じ問題を解くのが公平です。しかし、この考え方は、CBTによる柔軟で新しい試験の進化を阻害する要因になっています。

 CBTを実施した場合、受験者によって問題の内容も難易度も違いますが、客観的に能力を比較できるのがこの理論を使った試験の特徴です。司法試験で、鉛筆などの筆記具を使わずパソコンで受験するCBTが初めて採用されます。次に導入の検討を進めているのが医師国家試験です。最難関の司法と医師の資格試験が大きく変わります。

 主要国は十数年前から公的試験にCBTを活用し、現在は浸透を進める段階にあります。OECDによる若者の学力を国際比較するための調査(PISA)は、一部の国・地域への配慮を除き、2015年にCBTに完全移行していきます。日本が人材の評価方法で国際基準から外れないためにも、公的試験へのCBT導入は急務です。試験の運営側にとってCBT導入の利点は大きく、問題冊子の印刷や管理、運搬が不要になり、採点も楽になります。受験者側の利点としては受験機会が増えたり、得点が難易度を反映したスコアに変換されたりといった利便性の向上が期待されます。

 医師国家試験では、2021年度からCBTの可能性を探る取り組みが始まっています。全国50以上の大学が協力するトライアル試験では、内視鏡が口から胃へと進んでいく動画を使った問題も試されています。暗記で正解を得る試験から、臨床実習で得た患者を診る力を問う試験に質的に変わります。

(2026年7月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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