早期離職による企業損失

 中途採用した社員が1年足らずで辞める早期離職が企業を圧迫しています。賃金や採用コストが増加傾向にある中、離職者1人が企業にもたらす損失額は5年で約4割増えています。人材投資の拡大とともに退職時の痛手も大きくなり、ミスマッチの防止が大切となります。

 転職支援サービスのエンエージェントが、人材が6カ月で離職した場合の損失額をモデル化して試算すると、2025年時点で500万円台の年収の場合、採用企業が負う損失は1人あたり607万円となり、435万円だった2020年時点から39%増えています。損失の内訳の大半は、在籍中に支払った給与などを含む在籍用で、全体に占める割合は約56%(約340万円)でした。若手社員の賃上げが進む中、早期離職率が比較的高い若年層の退職は企業にとって大きな負担になっています。

 ミドル層の転職活発化も一因です。終身雇用への期待が薄れ、自らの市場価値を問い直しながらキャリアを選択する動きが広がっています。中途採用したミドル人材が3年以内に再び転職するケースも珍しくありません。経験豊富な社員の早期離職は後任探しが難しいだけでなく、中核人材の不在が業務の停滞を招きます。企業によっては損失額以上の痛手を被るリスクがあります。

(2026年7月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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