個人向け国債の発行の加速

 市場金利の上昇を受けて個人向け国債の利回りが改善し、預金より有利な運用先として注目が高まっています。財務省によると、4~8月の発行額は計4兆661億円と前年同期から66.3%増えています。2025年度も6兆1526億円と、19年ぶりの高水準でした。このペースが続けば年度あたり10兆円弱となり、財務省が当初見込んだ5兆9000億円を大きく上回ります。

 日本は金融資産に占める国債の割合は現状1%未満で、米国の約3%まで伸びしろは大きいのですが、実際の資金移動の規模は税制優遇の内容や銀行側の預金流出対策に左右されます。国債へのシフトは、地銀などからの預金流出も含め、日本の金融システムに与える影響は大きいと考えられます。

 預金は、融資余力を生む銀行経営の土台となっています。メガバンクでは個人預金が預金全体の4~5割程度を占めるとされ、地方銀行では7割近くに達しています。預金流出が加速すれば貸し出しの原資が細り、特に地域金融に影響が出る可能性が出てきます。

(2026年8月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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