ドラッグ・リポジショニングの必要性

 ドラッグ・リポジショニングとは、ヒトでの安全性と体内動態が実績によって既に確認されている既存薬から、新たな薬効を見つけ出し、実用化につなげていこうという研究手法を指します。通常の創薬では、薬の成分がどのように体に吸収され、分解されるかといった薬物動態を動物で調べる必要がありますが、実用化済みの薬をリポジショニングする場合、改めて同様の検証をする必要はありません。

 薬価は、通常似た効能を持つ既存薬があればその薬価を基準に算定する類似薬効比較方式をとります。しかし、リポジショニングでは特例として、原価に販売費や管理費などを加える原価計算方式でも算定し、どちらか低い方を採用する仕組みになっています。転用元の薬が古いものだと、原価は販売直後から大きく下がっている場合が多く、原価計算方式で低い薬価がつきやすくなります。

 わが国では、リポジショニングが進んでいません。厚生労働省は承認手続きの明確化で開発を促していますが、転用薬の価格を抑えるルールが壁になっています。

(2026年10月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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