HPVワクチンの男性接種

 日本は、諸外国と比べてHPVワクチンの接種率が低率です。WHOによれば、女性の15歳時点のHPVワクチン初回接種率は、日本は2024年に36%にとどまっています。ドイツや米国、英国などの先進諸国は7~8割です。2013年4月に、日本でも小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種化され、公費助成が始まりました。しかし接種後の痛みや運動障害などの報告が相次ぎ、積極的な推奨が控えられてしまいました。有効性や安全性に関するデータが国内外から集まったため、2021年に厚生労働省は再び接種を推奨しています。

 男性向け接種では、2020年に日本で4価ワクチンが承認され、2025年には男性の肛門がんや尖圭コンジローマ予防のために9価ワクチンが使えるようになりました。しかし男性向けのワクチンは定期接種の対象になっておらず、接種が進んでいません。ワクチンは年齢に応じて2~3回打つ必要があります。自費でHPVワクチンを受けようとすると、合計で5万~10万円程度かかってしまいます。世界では男女ともに公費助成を受けてHPVワクチンを打っています。

 日本対がん協会のHPVワクチンに関する認知度の調査結果によれば、定期接種の対象である世代の子どもを持つ親への調査結果では、HPVワクチンを知っていると回答した1,288件のうち、男性でもHPVワクチンを接種できると認識していた人は約4割にとどまっています。男性のワクチンの今後の接種意向について、全体では接種してほしいが計55%で、希望する人が負担なく接種できる体制が求められます。男性向け接種は東京23区などで費用を助成していますが、全国には広がっていません。日本産科婦人科学会も、男性も一律で公費助成を受けられるよう再三にわたって国に要望しています。

(2026年5月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です