Z世代の若年層は、先行世代に比べて手厚い給付を受け取れる見込みです。厚生労働省が2024年に公表した公的年金の財政検証によれば、Z世代にあたる2004年度生まれの人は10万円未満の層が24.4%にとどまっています。実は就職氷河期世代より少なく、共働きの増加が底上げしています。
20歳以上から原則60歳未満の全国民が入る国民年金と会社員らが入る厚生年金をあわせた公的年金の受給額が、月10万円を下回る場合を低年金と位置づけられています。先行世代は低年金がより多く、バブル経済期の近辺で社会に出た1964年度生まれは42.6%、景気後退で就職が難しかった氷河期世代の1974年度生まれは39.1%に上っています。1984年度生まれは36.8%、1994年度は30.0%と出生年が後になるほど比率は下がっています。
共働き世帯と働く高齢者の増加が背景にあります。専業主婦らが減って厚生年金に入る人が増えれば、将来もらえる年金額は増えます。1964年度生まれの女性は、会社員らの配偶者に養われる第3号被保険者の期間が中心の人が34.1%に及んでいます。後の世代ほど比率は下がり、2004年度生まれは13.2%に減少しています。働く高齢者の増加も受給額の底上げにつながっています。
しかし若年層でも男女格差が課題となっています。2004年度生まれの男性は厚生年金の加入期間が36.6年なのに対し、女性は29.7年と7年ほどの差があります。夫の転勤に伴い妻が仕事を辞めざるを得ないといった性別役割分担が、将来の年金額に響いています。男女格差の解消など給付底上げには、官民による仕事と家庭の両立支援が大切となります。

(2026年5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





