夫婦の年齢差縮小の背景

 厚生労働省の人口動態統計によれば、初婚で夫婦の年齢差は、1970年時点で最も多かったのは夫3歳上が13%で、夫が2~4歳年上の夫婦が全体の4割近くを占めていました。しかし、2024年のデータでは、最多は夫婦同年齢の23%で、夫が1歳上が14%、妻が1歳上が11%と続いています。年齢差が1歳以内の夫婦が、全体の48%とほぼ半数になっています。

 1970年時点で全体の1割に過ぎなかった妻年上の夫婦は26%まで増えています。29歳以下の男性の32%が年上の女性と結婚しており、若い男性ほど年上の妻と結婚する比率が高くなっています。20世紀に多かった年上男性婚の急減が、婚姻全体の減少につながっています。

 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によれば、理想とする女性のライフコースとして、出産後も仕事を続ける両立と答えた未婚の男女の比率が、出産後に再び働く再就職の比率を2021年に初めて上回っています。かつては収入の少ない若い女性が、経済的安定を求めて年上の男性と結婚し、専業主婦になる傾向がありました。しかし、収入の伸び悩みが長期化し、女性が専業主婦になるリスクが顕在化しています。

 男女双方が結婚相手に経済力を求める風潮が強まり、女性も自身の収入が低い結婚へのハードルを感じやすくなっています。年収が近い人と結婚する傾向が強まると、年齢の差も自然と縮まります。相手と年齢が近い方が、価値観や趣味、話題が合うとの声も多く聞かれます。年齢差が大きいほど、失業など経済的な危機が起きた際の満足度の低下がより大きくなる傾向もみられます。

 女性が仕事を辞めて家に入るのを促すような制度は見直すことが必要です。会社員や公務員の配偶者は、保険料を自ら納めずに国民年金をもらえる第3号被保険者制度があります。このような制度を結婚や出産の後も働くことを後押しするように変えていく必要があります。共働きを前提とした世代に対応し、日本企業で慣行となってきた残業や転勤など当たり前からの改革も必要です。

(2026年4月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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