入れ歯やかぶせ物を作る歯科技工士の高齢化が進んでいます。50代以上が5割を超えた一方、志願者は減少しています。歯科技工士は、歯科医師の指示に基づき入れ歯やブリッジ、かぶせ物、矯正装置などを作る国家資格です。国が指定した専門学校や大学など、養成機関で指定のカリキュラムを終えて試験を受ける必要があります。
厚生労働省によれば、2024年の就業者は3万1,733人で、このうち50歳以上の割合は55%と半数を超えました。2004年は26%でしたが、若者の就業者が減り離職率も高まったことで高齢化が進んでいます。2024年度の国家試験合格者数は、2015年度から38%減少しています。全国歯科技工士教育協議会の調査によれば、養成機関の入学者は1995年度は3,199人でしたが、2026年度には1,014人にまで減少しています。養成機関の中心である専門学校も閉校が相次ぎ、学校数は2000年度の72校から2026年度は45校となっています。2004年に約3万5千人いた技工士の数が、2034年には約2万7千人になると推定されています。
志願者が減った背景のひとつは賃金の低さです。なり手がいなければ、仕事が集中して長時間労働につながり、さらに志願者が減る悪循環に陥ります。職場環境を見直す一環でデジタル技術の導入も進んでいます。手作業では時間を要した削りの工程が自動化され、作業が効率化しています。歯科の診療報酬の引き上げや技工士側への適切な料金支払いといった待遇改善も必要になります。

(2026年8月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





