出産に関わる費用

出産費用の負担を軽減するために、出産育児一時金が4月から大幅に増額されました。帝王切開など治療が必要な場合を除き、出産は医療保険の適用対象外です。帝王切開などの医療行為が介入する出産を異常分娩と呼びます。介入しないものは正常分娩や自然分娩です。正常分娩は自費診療が原則で、全国一律の診療報酬も適用されないので、価格も医療機関でバラバラです。
正常分娩に対しては、妊産婦の経済的な負担軽減のため、医療保険から出産育児一時金が支給されます。子ども1人につき原則50万円で、双子なら2人分もらえます。ほとんどの病院では、精算の時に差額分だけ支払えばいい直接支払制度を導入しています。50万円のうち1万2千円は、出産とは別の産科医療補償制度の掛け金に充てられています。実質的に出産自体への補助金は48万8千円です。
産科医療補償制度は、出産事故を補償する民間の保険です。何らかの理由で出産時に重い脳性まひなどの障害を負った場合に、その後の介護費用などのための一時金600万円と毎年の120万円の分割金が20回支払われます。ほぼ全ての病院が制度に入っています。
分娩に関わる費用は、医療施設のみならず地域格差があります。地方では、出産育児一時金で済む病院もあれば、都市部のように多額の費用を支払わなければならない状況がみられます。都市部は病院の人件費や土地代が高く、価格が高くなりやすいというのも理由の一つです。所得水準の高い地域では、医療機関側がコストを価格に転嫁しやすいという理由もあります。
海外では、保険適用されている国は多く、フランスやドイツのほかカナダ、アジアでは韓国も保険適用されています。日本でも、都市部の高すぎる出産費用の対策として、保険適用を求める声は少なくありません。これまで国は、正常分娩は病気や怪我ではないとして慎重な姿勢でしたが、出産費用の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の在り方について検討を行うとしています。2026年度に分娩費に関しても、不妊治療と同様に保険適用になることが予測されています。

(2023年5月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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