はしか後脳炎(亜急性硬化全性脳炎)

 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、はしかに感染して治った後、10年前後経って突然発症する病気です。国内の患者数は100150人と言われています。1980年代は年15人ほどが新たに発症していました。しかし、はしかワクチンの接種率が高まって感染者が減少するのに伴い、最近は年12人まで減っています。発症する時期は、小学生の頃が多いとされています。勉強や運動が普段どおりにできなくなって、家族が気づきます。また、ふらつきやけいれんで受診して判明することもあります。診断には脳波や血液、髄液の検査が必要になり、血液や髄液の中で、はしかウイルスに対する抗体の量が増えていることで診断します。
 発症後は4段階の経過をたどります。最も重い4期では意識レベルが著しく低下し、腕や体がこわばったままになります。数年で4期に達する患者が大半ですが、数カ月で達する患者もいます。この病気を根治できる治療法は確立していません。抗ウイルス作用のあるインターフェロンで、脳のウイルスの活動や増殖を抑える根治療法が一般的です。予防するには、はしかにならないことで、そのためにはワクチンの接種が最も重要となります。

(2016年10月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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