アルツハイマー病を知る―Ⅰ

アルツハイマー病とは
WHOの推計では、世界中で認知症を抱える人は約5,500万人に達し、日本では、2025年に約700万人に上ると推計されています。認知症の前段階の軽度認知障害の人を含めると1,000万人を超えるとされています。認知症の原因となる病気は100種類ほどありますが、最も多いのがアルツハイマー病で、全体の6~7割を占めているとされています。その他に、脳梗塞など脳血管障害の後に起こる血管性、幻視や運動障害が特徴的なレビー小体型、感情を抑えることが難しくなる前頭側頭型などがあります。
アルツハイマー病は、脳内に異常なたんぱく質であるアミロイドβが蓄積し、脳神経細胞が傷ついて、認知機能が低下します。アミロイドβの蓄積は、認知症の症状が表れる10~20年前に始まるとされています。アミロイドβは健常な人の脳内でも作られますが、通常はゴミとして短期間で排出されます。しかし、患者の場合、アミロイドβが少しずつ集まってプロトフィブリルと呼ばれる小さな塊になり、やがて繊維状の大きな塊に成長します。治療の基本は、脳内からアミロイドβを除去することにあります。
アルツハイマー病による認知症は、記憶障害の他、日時や場所が分からなくなる、料理など順序立てて行う作業ができなくなるなどが主な症状です。こうした症状は、数年かけてゆっくりと進行します。睡眠障害による昼夜逆転や、物を盗られたといった妄想などが出ることもあります。

(2023年9月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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