ギャンブル依存症の増加

賭け事にはまって生活に支障が出るギャンブル依存症の患者が増加しています。ギャンブルなどにのめり込み、金額や時間をコントロールできなくなる精神疾患です。
人間の脳には社会性や理性を司る前頭前野や、本能や感情を司る大脳辺縁系があります。通常は前頭前野の方が優勢です。しかし、依存状態になった脳では、大脳辺縁系の働きの方が強くなり、感情や欲望を制御できなくなります。国立病院機構・久里浜医療センターの調査によれば、男性の3.7%、女性の0.7%、全体では2.2%が、依存が疑われる状態でした。患者数も増加しています。
重症度を測るために、カナダで開発された目安もあります。失っても大丈夫な金額以上の金を賭けた、負けた金を取り返すために別の日にギャンブルをした、ギャンブルのために借金をし、物を売った、自身や家庭に金銭的な問題が起きたなどの項目について、過去1年間で複数が当てはまれば、受診した方が良いでしょう。
ギャンブル依存症に特化した治療薬はなく、治療の中心は認知行動療法です。患者自身が、自らの考え方の傾向に気づき、少しずつ行動を変え、生活の見直しを目指すものです。大阪精神医療センターは、GAMPという集団で行う認知行動療法のプログラムを開発しています。

(2023年8月13日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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