グループホームの急増

障害者グループホーム(GH)運営大手の恵が組織ぐるみで障害福祉サービス等報酬を不正請求したなどとして、GHの事業者指定が取り消されました。自治体の調査には、つじつまの合う虚偽の出勤簿を提出していたことも分かり、極めて悪質と判断されました。
障害者向けグループホーム(GH)とは、障害のある人たちが地域の中で共同生活をする住まいのことです。入居できるのは原則18歳以上で、主に夜間の食事や入浴といった介護、日常生活上の援助が受けられます。一つの住居の利用者数は平均6人ほどです。厚生労働省によると、今年2月時点の事業所数は全国1万3,512カ所、利用者は18万5,873人に達しています。
介護が必要だが、施設ではなく地域の中で暮らしたい人や、施設を出てすぐに一人暮らしをすることに不安がある人などが利用しています。特別養護老人ホームでは、介護士のほか医師や看護師らも置かなければなりませんが、GHはサービス管理責任者以外は資格がいらず、未経験でも開業のハードルは低くなっています。

GHの利益率は一般の中小企業や障害福祉サービス全体の平均より高く、安定的な収益を長期間見込める仕組みができあがっています。追い風を商機とみなした営利法人が続々参入し、GHは右肩上がりで増え、この10年間で施設数、利用者数はともに倍増しています。急拡大の背景には、国が進める障害者の地域移行があります。

(2024年6月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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