コロナ貯蓄の取り崩し

コロナ禍で政府が給付金を支給する一方、家計は消費を控える傾向が強く、超過貯蓄やコロナ貯蓄と呼ばれる余裕が一時的に生まれました。第一生命経済研究所の分析によれば、コロナ貯蓄は、2022年10~12月期の47.9兆円をピークに、2023年10~12月期に41.9兆円まで減少しています。つまり、個人が新型コロナウイルス禍で積み上がった貯蓄を取り崩しています。2023年に3兆〜6兆円が支出に回っています。
米国でもコロナ貯蓄が減っているのは日本と同じです。米国では、旅行や外食などのコロナ禍後のリベンジ消費を中心に使われています。一方、日本の使い道は食品などの生活必需品が中心です。物価高による商品の値上がりで支出を増やしたためとみられています。米国では2023年半ばから実質賃金はプラスになる一方、日本でマイナスが続き、家計が防衛的な姿勢を強めています。
内閣府の世帯別の貯蓄率の調査によれば、コロナ禍後の2023年7~9月期までで、65歳以上の男性と60歳以上の女性からなる高齢の無職世帯では、貯蓄率の低下が目立っています。勤労世帯では、平均年収500万円未満の層で貯蓄率が低下傾向にあります。一方、平均年収1,000万円超の層では貯蓄率は依然として高く、上昇傾向にあります。

(2024年5月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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