パックスとは

 パックスは、民事連帯契約とも呼び、1999年にフランスで認められた「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」のことをいいます。異性および同性のカップにとって、婚姻より規制が緩くて、同棲よりも法的権利などをより享受できる新しい家族組織のことです。フランスは、もともと結婚や離婚に関する法律的制約が厳しく、結婚の形態を好まぬカップルが多いため、このような制度を国家として容認しています。当事者同志が契約書を自由に作成し、それを裁判所に提出して公証してもらいます。契約破棄は、両者の同意は不要で、一方からの通告でもよいことになっています。
 フランス国民は、異性か同性かを問わず、ともに暮らすカップルに簡単な手続きで結婚に近い権利を与えるパックスを選ぶことが多くなっています。フランスでは、結婚していない家庭に生まれた婚外子は6割に達しています。ひとり親も5家族に1家族を占めています。フランスでは、結婚せずに暮らすカップルが珍しくありません。多様な家族を尊重する社会の包容力が子育て大国を支えています。フランスはこうした制度を認めつつ、子育て支援を実施することにより、出生率を上昇させてきました。日本では、同性婚どころか夫婦別姓すら制度化されていません。家族のかたちは様々であることを認めることが、子どもを安心して育てられる社会につながる第一歩と思われます。

(吉村 やすのり)

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