ビジネスケアラーの増加

経済産業省の予測によれば、2030年時点で家族を介護する人は833万人にのぼり、うち4割の318万人をビジネスケアラーが占める見通しです。ビジネスケアラーとは、仕事を続けながら家族などを介護する働き手のことで、ワーキングケアラーとも呼ばれます。少子高齢化に加えて共働き世帯の増加も、ビジネスケアラーの数を押し上げる要因となっています。

介護をしながら働くビジネスケアラーの支援を手厚くする企業が増えてきています。大成建設は休暇日数を増やし、エディオンは短時間勤務をしやすくしています。仕事と介護を両立できる仕組みを整えて離職防止につなげています。経済産業省は、2030年時点の介護離職者は11万人にのぼり、働き手の介護負担に伴う経済損失は、9兆円を超えると試算しています。
厚生労働省の2021~2022年の調査によれば、介護休暇や介護休業などの制度整備にすでに取り組んでいる企業は85%を占めています。しかし、現在の勤務先で介護をしながら仕事を続けることができると考えている正規労働者は63%にとどまり、必ずしも支援は十分とはいえません。介護に伴う体力的・精神的負担は、ビジネスケアラーの生産性を2〜3割低下させるとの試算もあります。個々の企業の努力に加え、社会全体で介護両立支援の機運を高める必要があります。

(2024年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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