リウマチの治療薬

 リウマチの原因は不明ですが、本来は外敵から自分の体を守るはずの免疫細胞が、関節で骨と軟骨を包む滑膜に集まり、攻撃し、炎症を起こします。これが続くと滑膜が増殖し、次第に骨や軟骨が破壊され、激しい痛みや腫れが出ます。進行すると関節が変形し、人工関節が必要な場合もあります。これまで痛みなどの症状だけを抑える非ステロイド系抗炎症薬や副腎皮質ステロイドが使用されてきましたが、近年になり関節を破壊から防ぐ抗リウマチ薬や生物学的製剤が使われるようになってきています。
 世界的に治療の中心は、抗リウマチ薬のメトトレキサートです。細胞増殖に必要な物質の合成を抑える飲み薬です。生物学的製剤は、免疫細胞から出てくる炎症を起こすたんぱく質などを特異的に抑えます。2003年にインフリキシマブがまず承認され、現在は8種類まで増えており、点滴や皮下注射で投与します。しかし、生物学的製剤は免疫を抑えるため、副作用として肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなります。メトトレキサートも肝機能障害などを引き起こすことがあります。生物学的製剤は複雑な遺伝子組み換え技術などを使用して作られるため、従来の薬に比べて価格が高くなります。毎月の医療費の自己負担は、検査代なども合わせ保険適用でも5万円前後になります。

(2016年8月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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