中高年の転職

厚生労働省の調査によれば、直近の5年前で大学・大学院卒の退職金の平均は、定年退職だと1,983万円ですが、早期優遇では2,326万円と17%も多くなっています。会社が45歳以上、50歳以上といった基準を設け、対象者が退職する際に割増退職金を支給するのが一般的です。特別休暇の付与や、再就職の相談・あっせんを行うケースも見られます。
従業員1,000人以上の会社で、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者のうち定年が理由だったのは63%です。希望退職など会社都合の退職者は6%で、3割は自主的な退職です。40歳以上の転職者の賃金変動状況をみると、増加の割合は年齢が上がるほど縮小する傾向にあります。しかし50代でも2割超が増加しています。転職だけでなく、会社に縛られずにフリーランスとして独立するのも魅力的です。

 

しかし、社会保険料も会社員時代より負担が増えます。会社員は勤務先の健康保険に加入して、保険料は原則会社が半分払います。扶養する家族保険料負担なしで公的医療保険の給付を受けられます。会社を辞めると、退職後も最長2年は同じ健康保険を任意継続できますが、保険料は全額自己負担になります。任意継続が終わるなどして国民健康保険に加入すると、自分だけでなく扶養していた家族それぞれにも保険料負担が生じます。
会社員は第2号被保険者として厚生年金に加入し、年金保険料はやはり会社が半分払っています。基礎年金に厚生年金が上乗せされ、受給額も多くなります。フリーランスになると、第1号被保険者になって国民年金に加入し、年金保険料は全額自己負担です。会社を辞めた後の加入期間は厚生年金がなくなるので、定年まで勤めるより受給額は減ります。
優遇制度の有無にかかわらず、転職後の家計の収支計画などを家族で話し合って決めることが大切です。収入をはじめ条件を満たす新しい仕事を探す際、家族の応援がカギになります。お金だけでなく生き甲斐は大切ですが、第二の人生で夢を追うなら準備は必要です。

(2023年8月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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