介護報酬の大幅上げ

介護保険サービス事業者への対価である介護報酬は、1.59%のプラス改定となります。障害者福祉サービスの事業者への報酬も1.12%引き上げられます。介護報酬は3年ごとに見直され、今回は2021年度の前回改定の0.7%を大幅に上回ります。
プラス改定のうち、6割に相当する0.98%分は介護職員の賃上げに、0.61%分は事務職員らの賃上げに、それぞれ充てられます。来年度は2.5%、2025年度は2.0%のベースアップにつながります。
介護業界は人手不足が続いています。仕事の責任が重いわりに、賃金が低いことが背景にあります。2022年の平均給与月額は約29万円で、全産業平均を約7万円下回っています。このため、賃上げが進む他産業への人材流出が深刻となっています。昨年、介護など社会福祉関係の仕事を離れた人数は約61万人で、新たに職に就いた人を約6万2,000人上回っています。
一方、介護報酬を引き上げると、国民の負担は増えることになります。利用者の自己負担が原則1割で、残りは税金と40歳以上が支払う保険料で賄われています。今回の改定で、来年度の税金と保険料の負担は、それぞれ約860億円増える見込みです。65歳以上の保険料は現在、全国平均で月額6,014円です。高齢化で利用者が増加し、元々上昇が見込まれている保険料は、プラス改定でさらにアップします。

(2023年12月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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