保護司の担い手確保

罪を犯した人らの更生を支える保護司の担い手確保が急務となっています。平均年齢は65歳を超えて高齢化が進み、10年以内に少なくとも約4割が退任する見通しです。制度の維持には、働きながら保護司を務める現役世代の増加が不可欠です。



保護司は、明治時代に篤志家が刑務所出所者の支援をしたことを起源とする日本独自の仕組みです。現在は1950年に制定された保護司法に基づき、法相が委嘱する非常勤の国家公務員に位置付けられていますが、実質は無給の民間ボランティアです。保護司法では、社会奉仕の精神で業務を担うことを保護司の使命と規定されています。
保護司になるには、各地の保護観察所長の推薦などが必要ですが、地域の人間関係の希薄化などにより、後継者探しは難しくなっています。また、保護司は支援相手との面会内容などを記した報告書を毎月作成し、保護観察所に提出する必要があり、負担に感じる人が多くなっています。
地域の事情に精通し、支援する相手に合わせて柔軟に対応することのできる保護司は更生に不可欠な存在です。国は保護司の勤務先や社会全体の理解が広がるよう広報活動にも注力し、現役世代など幅広い人材が保護司を務められる仕組みを検討すべきです。

(2023年8月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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