別腹の正体

食欲をコントロールするのは脳です。脳は、血糖値が低くなるとお腹が空いた、食べたいと感じ、血糖値が高くなり胃が食べ物である程度満たされるとお腹いっぱいと感じます。満腹と感じる時でも、胃には食べ物が入る余裕があります。本当にいっぱいなら、苦しくて吐き気を催します。満腹や別腹には脳が深く関わっています。満腹は、量的に食べ物で満たされる場合のほか、同じ味の繰り返しで飽きた場合も感じます。
満腹を感じても、味が違うと受け入れやすくなります。これとは別に、自分の好物や美味しそうな食べ物を見たり香りをかいだりすると、胃にゆとりが生まれ、食べ物がさらに入る状態になります。脳では、美味しそうな食べ物を見たり香りをかいだりすると、麻薬に似た物質のβエンドルフィンが分泌されて、幸せな気持ちになります。ドーパミンの分泌で食べようという意欲がわきます。オレキシンの分泌で胃の筋肉が緩むとともに、食べ物を小腸に送り出す動きも活発になり、胃にゆとりが生まれます。これが別腹の正体です。

(2018年8月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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